13. 帯状疱疹後神経痛(PHN)に対する鍼灸治療
帯状疱疹後神経痛(PHN)とは帯状疱疹の皮膚症状が治った後も痛みが残るというものです。
痛みは、焼けるような、刺すような、ズキズキ、ピリピリ、引き裂けるよう、など多彩であり帯状疱疹の合併症の中で最も頻度の高い後遺症です。
鍼灸治療は鎮痛(ちんつう)作用を有します。
特に細い線径の鍼を多く用い、患部を挟むように刺鍼します。
また、灸と円皮鍼も併用することで痛みの程度を少しづつ和らげ、発症前の生活へと戻って頂くことを目的とします。
原因としては神経の損傷によって生じる痛みであると考えられています。
衣服などが軽く触れた際にも痛みが生じるアロディニアが起こることもあり、日常生活へ大きな影響が出る場合もあります。
・帯状疱疹後の痕(色素沈着)について
帯状疱疹に限らず、皮膚に炎症が起こるほぼ全ての症状にて生じますが、皮膚の症状と炎症の強さによって消えやすさが決まります。
ビタミンCの内服などで効果が見られる場合がありますが、どれだけ早く消えるかは個人差があり、日にち薬である場合が多いです。
帯状疱疹後神経痛に対しては、痛みを取り除くと同時に、皮膚の色素沈着改善も念頭に置き日々鍼灸治療に励んでおります。
14. 気象関連痛(天気痛) と 鍼灸治療
雨が降るまえ、台風が近づくと頭痛,痛みなど気象の影響を受けて症状が悪化する慢性患者さんは多く、気象関連痛あるいは天気痛と呼ばれており愛知医科大学の住民アンケートでは、慢性痛 chronic pain をもつ人の約25%が天気が悪いとき・崩れるときに痛みが悪化し、約47% が寒冷で痛みが悪化するとされています。
そして、気象関連痛、天気痛をもつ人は約1割にあたり、珍しい病態でないことがわかります。
特徴としては頭部、頚部、肩部に痛みが生じる場合が多く、疼痛(とうつう)強度は中等度、日常生活活動に障害が生じるレベルとされており、一般的な慢性痛に加え予期できないコントロール不能な[天候,天気]により症状が左右されるため、天気変化への不安や恐怖感も生じることがあります。
また、天気の崩れは自律神経 交感神経を興奮させ慢性痛を悪化させると考えられております。そして、内耳が気圧センサーとして働いており、優れている、敏感に作用している可能性も示唆されています。
当院では、気象関連痛が生じる頻度の高い頚肩部のみならず、乳様突起部(にゅうようとっきぶ)や側頭部、頭部への刺鍼が効果的であると感じております。加えて背部や四肢への鍼灸治療を症状に合わせて行います。
また、漢方薬では五苓散(ゴレイサン)や苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)など、余分な水[すい]を利するものが処方されることが多いです(鍼灸治療におきましても同様で、東洋医学的観点での鍼、灸を行います)。