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1.  めまい ふらつき 頭痛における頚肩部への鍼灸治療
 
・加齢とともに有病率が高まるとされるめまい疾患はADLを低下させる。また、common disease 診療科を問わず、高頻度で遭遇する疾患であり原因は多岐にわたる。
 
・頚や肩の緊張を主訴とされる患者様の多くが、上記の症状を有しておられ、また、その多くが、頚の緊張が強まった際に出現または悪化することを訴えられる。
ここで報告する「めまいふらつき」とは、循環器や耳疾患によるものではなく、筋肉の緊張からなる頚性めまい、または「頭が鉛の様に重い」「怠くて動けない」といった頭重感に伴う めまい ふらつき である。
長時間の前傾姿勢などが誘因であることが少なくない。
 
この場合、トリガーとなり得る可能性が最も高いものが「後頭下筋群」という後頭部と後頚部の境目、深い位置にある小さな筋肉。次に胸鎖乳突筋や咬筋、側頭筋など重要視する筋肉はまだ幾つも存在するが、はじめに鍼を刺入し様子を探るべきだと考える。
 
・当院では、かなり細い部類の鍼を用いることが多い。過緊張部位に当たれば鍼を持つ差手に収縮する筋肉の応答を深く感じられるからであり、太い鍼だと細い鍼ほどでないと考える。この感覚は「魚が針を喰う」感覚だと表現されることが多い。同時に緊張した筋肉は収縮反応を起こし、刺入された側は響き感を得る。また、側臥位での刺入が安定感を高める。殊更、その他の筋肉の触知も簡便であると述べておきたい。
[* 主に雀啄術、又は屋漏術という手技を穏やかに行う]
 
後頭下筋群に始まり、胸鎖乳突筋を経て、顔面部、そして肩部に終わる。細やかに丁寧に行うべきである。
強い症状においては、伏臥位にて背面部への置鍼術を加えると良い。
頭痛の出現する部が頭頂部、又は全体的に拡がっている場合は仰臥位にて頭部へ置鍼術を行う。
 
治療直後より症状の消失、または、治療後から就寝するまでの間ごく微少な倦怠感が続いたが、目覚めた後より数日間はめまい、ふらつき、頭痛症状はなかった、という経過をたどる。
症状の消失期間(2-14日が多数)には個人差があるが、少しの期間でも悪循環を断つことは非常に有意であると常々感じる次第である。
 

2.  主として顔面部 非定型の痛みに対する鍼灸治療
 
・ 非定型とは定型的でないという意味合いで使用される語句である。
何かしらの緊張により、顔面部へ痛みが生じる例が少なくなく、こめかみ付近の痛み、時には歯が痛くて歯科医院を受診するケースも存在する。ブラキシズム (噛み締め) による筋性の顎関節症にも、この症例の言わんとする要素が含まれている。
また、非定型の痛みを有する患者様の大多数では舌に歯痕が存在する。東洋医学の診断「舌診」では舌の胖大 「気虚」と診て、謂わゆる身体に元気がない状態である。「気虚」に対する「補気」の鍼灸治療は別項で述べたいと存るが、非常に大切な観点であり欠かせないものである。
 
・ 上記した歯の痛み。非歯原性歯痛のうち、筋・筋膜性歯痛である。
疼くような鈍い痛みで「奥歯が浮いた感じ」と表現される方も少なくなく、抜歯に至るケースも存在する。
咀嚼筋(側頭部・咬筋など)がトリガーとなっている可能性が高いが、
1. めまい ふらつき 頭痛における頚肩部への鍼灸治療でも述べたように、やはり後頚部、胸鎖乳突筋、肩部なども丁寧に診るべきであると考える。
 
・ 頬、頭部との境目や、目の奥、こめかみの痛みについては、患者様が示す部へ鍼を刺入すれば穏やかなものとなる場合が多いが、背部や頭部への置鍼術を加え、東洋医学的な鍼術も加えると更に良い効果を得られる。