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1.  めまい ふらつき 頭痛における頚肩部への鍼灸治療

 

・加齢とともに有病率が高まるとされるめまい疾患はADLを低下させます。またcommon disease 診療科を問わず、高頻度で遭遇する疾患であり原因は多岐にわたります。

・また、天候の変化によっても頭痛は生じ、その場合はめまいを合併する例が多いことが分かっています。12. 気象関連痛(天気痛)と鍼灸治療のページ

頭痛においては、頭痛の診察ガイドライン2021で非薬物療法の中の選択、標準治療として鍼灸治療が推奨されています。

 

・頚や肩の緊張を主訴とされる患者様の多くが上記の症状を有しておられ、また、その多くが頚の緊張が強まった際に出現または悪化することを訴えられる。
ここで報告する「めまいふらつき」とは、循環器や耳疾患によるものではなく、筋肉の緊張からなる頚性めまい、または「頭が鉛の様に重い」「怠くて動けない」といった頭重感に伴う めまい ふらつき です。


長時間の前傾姿勢などが誘因であることが少なくなく、この場合、トリガーとなり得る可能性が最も高いものが「後頭下筋群」という後頭部と後頚部の境目、深い位置にある小さな筋肉です。次に胸鎖乳突筋や咬筋、側頭筋など重要視する筋肉はまだ幾つも存在しますが、はじめに鍼を刺入し様子を探るべきだと考えます。


・当院では、かなり細い部類の鍼(線径0.14mm)を多く用います。
過緊張部位に当たれば鍼を持つ差手に収縮する筋肉の応答を深く感じられるからであり、太い鍼だと細い鍼ほどでないと考えます。この感覚は「魚が針を喰う」感覚だと表現されることが多くあります。
また、それと同時に緊張した筋肉は収縮反応を起こし、刺入された側は響き感を得る。そして、側臥位での刺入が安定感を高めます。殊更、その他の筋肉の触知も簡便であると述べさせていただきます。
[* 主に雀啄術、又は屋漏術という手技を穏やかに行う]


 
後頭下筋群に始まり、胸鎖乳突筋を経て、顔面部、そして肩部に終わる。細やかに丁寧に行います。
強い症状においては、伏臥位にて背面部への置鍼術を加えると良い。
また、頭痛の出現する部が頭頂部、又は全体的に拡がっている場合は仰臥位にて頭部へ置鍼術を行います。


 
治療直後より症状の消失、または治療後から就寝するまでの間ごく微少な倦怠感が続いたが、目覚めた後より数日間はめまい、ふらつき、頭痛症状はなかった、という経過をたどります。
症状の消失期間(2-14日が多数)には個人差がありますが、少しの期間でも悪循環を断つことは非常に有意であると常々感じている次第です。


また、緊張型頭痛においてはストレスや精神的緊張も因子となり得ます。
鍼灸治療は心理的ストレス要因や精神疾患の治療に効果が期待できますが、ストレッサーや精神的緊張の因子そのものを考慮し、治療を行うのが望ましいと考えます。
 

2.  主として顔面部 非定型の痛みに対する鍼灸治療

 
・ 非定型とは定型的でないという意味合いで使用される語句です。
何かしらの緊張により顔面部へ痛みが生じる例が少なくなく、こめかみ付近の痛み、時には歯が痛くて歯科医院を受診するケースも存在します。ブラキシズム (噛み締め) による筋性の顎関節症にも、この症例の言わんとする要素が含まれていると考えます。


また、非定型の痛みを有する患者様の大多数では舌に歯痕が存在します。東洋医学の診断「舌診」では舌の胖大 「気虚」と診て、謂わゆる身体に元気がない状態です。「気虚」に対する「補気」の鍼灸治療は別項で述べたいと存じますが、非常に大切な観点であり欠かせないものであります。


・ 上記した歯の痛み。非歯原性歯痛のうち、筋・筋膜性歯痛
疼くような鈍い痛みで「奥歯が浮いた感じ」と表現される方も少なくありません。
咀嚼筋(側頭部・咬筋など)がトリガーとなっている可能性が高いが、
1. めまい ふらつき 頭痛における頚肩部への鍼灸治療でも述べたように、やはり後頚部、胸鎖乳突筋、肩部なども丁寧に診るべきであると考えます。


 
・ 頬、頭部との境目や、目の奥、こめかみの痛みについては、患者様が示す部へ鍼を刺入すれば穏やかなものとなる場合が多いが、背部や頭部への置鍼術を加え、東洋医学的な鍼術も加えると更に良い効果を得られると感じています。